惜しい方がドンドン亡くなられている

声優さんの死、オタクにとってこれほど戦慄を受けるニュースもないでしょう。先に紹介した方々も例外ではありませんが、この役はこの人しか演じられないだろうと、そんなキャラクターを持っていた人が死ぬと尚の事物議を醸し出す。それこそ国民的な知名度を持っている。名前や顔は知らずとも、声と役名を聞かされれば誰もが頷いて納得する人が亡くなった時には、オタクやそうでない人関係なく悲しみの声を思わず上げてしまったという人もいるはずだ。

この方もその1人、『大塚周夫』さんという業界においてその影響力は計り知れない方もまた2015年1月にこの世を去ってしまいました。オタクの中では常識レベルな話題ですが、現在同業界で活躍している『大塚明夫』さんの父親に当たる人です。けれど大塚周夫さんの場合、その訃報は前触れもなく突如として発表されたため、驚きを隠せなかった人も多い。何故なら死亡が確認される少し前まで、所属事務所にて行われていた新年会には元気に参加されていたというのだ。事務所は勿論、いきなりの事態に誰もが驚きを隠せなかったはず。

それだけこの大塚周夫と呼ばれた方が、どれだけ凄い声優だったのかが伺えるでしょう。

いい声を出したい方へ

演者としての上昇志向

大塚周夫さんを語る上で大事なのは、『生粋の演技者』という点だ。どういうことかというと昔から、デビューは1955年と日本が戦後間もない中でなんとか復興へと尽力していた時代から、芸能界で活躍をしていたのです。後に小川真司さんとも交流があったかもしれない、三匹の侍に俳優として出演しているほど、業界人ならば知らないとは言えない大物なのです。実際大塚周夫さんのことを声優ではなく俳優としてみている、という人も中にはいるのでは、とも考えられるほどだ。

ただやはり声優業界で見れば周夫さんがこれまで演じてきた役の方が印象深いのは間違いないでしょう。ただ周夫さんといえばこれを忘れてはいけないという役があります、原作者の方も同じく2015年に亡くなられ、やはり業界の重鎮だった水木一郎さんの代表作といってもいい『ゲゲゲの鬼太郎』、その主要キャラの『ねずみ男』を演じられていた。

ねずみ男というキャラ

大塚周夫さんにとって、生前の中で一番思い入れのあったキャラクターだったのも有名な話だ。それこそいい加減でずる賢い性格は本人も共感できると言っていましたが、人間でもなければ妖怪でもない役側に当時はどう演技すればいいのかわからなかったという。意外な話のように見えますが、こんな凄い声優さんでも迷うことがあるんだなぁと、そんな側面を思わせるエピソードだ。

あくせくしながら洗練されていくねずみ男、やがてそれは大塚周夫という一人の声優が演じる役の中でも代表作となり、そして一番の自信作になっていったというのも知られています。実際に演じる際にも水木先生に指導を仰ぎ、演じ分けを仰いでいたという。ただそれだけ思い入れがあったせいで、シリーズの途中でキャストを一新する際には、どうして自分が降板しなければならないのか、という不満を匂わせる事もあったという。それだけの自信があったため、後任を務めた『富山敬』さんには自分を超えるものを演じて欲しいと依頼した程だという。

その他の有名なキャラクターは

大塚周夫さんは根っからの演技者だったため、その年齢に関係なく度々人気作品に出演しては、その人気を広い世代に浸透させていきました。亡くなる前年度まで精力的に活動していましたが、そうした中で有名なキャラクターといえばこんなところだ。

  • 1971年 ルパン三世 - 初代 石川五エ門
  • 1975年 ガンバの冒険 - ノロイ
  • 1984年 名探偵ホームズ - モリアーティ教授
  • 1988年 美味しんぼ - 海原雄山
  • 1993年 忍たま乱太郎 - 初代 山田先生
  • 2002年 釣りバカ日誌 - 鈴木一之助/スーさん
  • 2008年 墓場鬼太郎 - ねずみ男
  • 2010年 ぬらりひょんの孫 - ぬらりひょん

40年という時間でこれだけ主要キャストになるのだから、それだけ名の知れた人だというのが見て取れるはず。昔の役を知らなくても数年前に出演していた作品なら知っている、そういう人もいるはず。知名度が広かったからこそ、亡くなられたことに戸惑いを見せた人がいたといっても、おかしくありません。

声の仕事につくには

熱心だった

お年だからといって現場から退くこともなく、むしろ演技することに関しては若者にも負けないという熱意すら持っていたという話も度々聞かれます。80歳を過ぎてもなお演技は止められず、人間観察をしながらの芸に磨きをかけることに勤しんでいたという。ここまでの大物なのに、仕事へ行く際は電車か徒歩の利用が当たり前だったというのも意外なエピソードかもしれません。それくらい演技に情熱をかけていた人が亡くなる、これほど惜しい話はないでしょう。